新選組! 第三十三回(04/08/22OA)

 しばらくぶり(第十一回以来)のレビュー。

 言わずもがな、山南敬助切腹を描く一昼夜。

 いやー、見入ってしまいました。ここまでの陽のベスト1が第五回(「婚礼の日に」)だとすると陰のベスト1でしょう。陰というと嫌な響きなので「悲」とでもいうべきか。以下、思いつくままに。

 鈴木砂羽の素晴らしい明里。どのシーンをとっても非の打ち所が無いですが、山南に菜の花を持って別れを告げにくるシーンは震えが来るほどの名演。「なにしでかしたん」からのくだりは涙なしには見られませんでした。おそらくは、もう少し若い役者のやるべき役柄だとは思いますが、これは鈴木砂羽にしかできなかった芝居では無いでしょうか?

 ラストの泣きの演技(特に山本耕史)。山本耕史の泣きは完全にガキの顔つきになっていて、心の底から信頼している人間にしか見せない表情を現していました。いやーすごい顔だった。

 こんな話中でも、くすぐりをしのばせる三谷幸喜。久々に登場の石田散薬で「背が伸びる」と武田観柳斎をひきつけるシーンはお約束。そういうシーンじゃないとは思うが、伊東大蔵が来て、一首読むところは「お呼びでない」かと思った。

 新選組は土方の思惑と外れ、これから凄惨な状況に向かうと思われますが、この回を書ききったということは、今後の状況描写も三谷流で乗り切ってくれるでしょう。