「冬のソナタ」をめぐって

 昨年秋だったか、実家の母と何かの用事で電話をしていると

 「あんた、冬のソナタちゅうの見とらんの。ええよ。いっぺんお見。」

 といわれたが、韓国ドラマには興味ないし、お話も知っている限りでは古臭いテーマだと思っていたので無視していた。

 正月に実家に帰ると冬のソナタのサントラCDが置いてあり、

 「ええんよこれが。あんたも聞いとん(聞いてみたら)。」

 当然スルー。


 春になって、

 「あんたんとこはDVD見れるん。見れるんじゃったら冬のソナタ送ってあげよか。」

 「こうたんか(買ったのか)!。プレーヤーも?はぁー。」

 DVDプレーヤーを買ってまで見たくさせる魔性のドラマ。恐ろしや。

 妻の母が見たいといっていたので送ってもらうことに。私は見る気がなかったが妻の母以上に妻がはまった。一日に三話ずつ位見て数日で見終わるほどのはまりよう。ペ・ヨンジュン(というかミニヨン)の写真まで飾る始末。さらには友達にも貸して、またその友達もはまる。

 そんな状態なので、少し横目で見たり、あらすじを聞いたりしたんだけど、相当に日本のドラマの影響を受けていると感じた。結構上手い影響の受け方で、すれ違い、記憶喪失、血縁の誤解などのベタな設定を、90年代前半に流行ったジェットコースタードラマ的に構成するところはなるほどと感心。ただ、しょぼいのが照明と音響。ライティングはのっぺりしているし、音楽はなんだかどこかで聞いたような軽さのうえ、音効が未熟なのか浮きまくり。

 何が彼女たちをひきつけたかっていうと、お話の内容もさることながら、登場人物が日本人とよく似た顔をした人たちなんだけど生活背景が見えないという、「スター」の本質を保持してるからなんだろうなぁとぼんやり思ってます。たとえば、キムタクはどんなに画面で演じていても、「工藤静香の夫」というレッテルが見えちゃうんだけど、ペ・ヨンジュンにはそういったものがない。(今や過熱報道でそういう部分も見えてきてはいるけど)また、舞台が韓国でロケ地が結構美しいのも、二時間ドラマで旅情サスペンスを楽しむ世代には受けたのかもしれません。ロケ地を組み込んだツアーも盛況な様子。

 息子もすっかり影響されて、ペ・ヨンジュンの写真を見つけると「あ、ミニヨンさん」と受けを狙う。4歳児から70歳の老女まで虜にする、恐るべし冬のソナタ。私は見ないと思いますが