電車男 第十一回(最終回)

 結局今期全話見たのははこれだけ。しかし消去法ではなく、積極的に面白がってみることができた。エンターテインメント系のドラマとしては120点の出来。

 電車とエルメスの恋という幹を大事にしながらも、陣釜&桜井という強力なキャラを創造し、育成し、その幹から伸びる枝葉を充実させたことが非常に効果的だったと感じました。

 特に桜井は当初の沙織のお兄さん的さわやかな感じからの転換がお見事。繰り出す妨害策は西一(いなかっぺ大将)やマージョ等のタイムボカン敵キャラのそれを思い出させてたまりませんでした。(タツノコプロ系ということか?)最近豊原功補がアリコのCMに出ているんですが、どうしても桜井さんに勧められているようで信用ができません。まあ、中途半端な二枚目という殻を払拭できてよかったんじゃないでしょうか。

 陣釜さんという可愛いドSキャラも白石美帆の熱演好演ですばらしい出来だったと思います。しかし、桜井とくっつくとは予想しましたが、それも捨てて旅立つという展開は思いつきませんでした。ネット住民にまで靴を貢がせておいて。

 『泣きといえば山田(孝之)』というのが私の定説ですが、このドラマの山田(剛司)もよく泣きました。ちょっとやりすぎ感があって最後のほうは飽きてきましたが、見事な泣きっぷりだったと思います。伊藤淳史もいつまでもチビノリダーやワカゾーでは面白くないでしょうから代表作ができてよかったと見るべきでしょうね。

 美咲タンはグッショブ。天然系の菩薩演技(『やっと会えましたね、電車男さん』)もさることながら、自分からキスする辺りとか、『そっちじゃないです』とかのシーンでは菩薩の顔に般若が浮かび上がる感じで欲望が見え隠れして天然だけじゃないエルメス像が演じられていたと思います。これもまたはまり役だったといえるんでしょうね。

 エルメスのお母さんは美咲タンが二役かなぁとも思ってたんですが、マチルダさんが母親とは。この母にしてこの息子ありですか。

 電車男という物語自体はいろいろな意味世界を語れる複雑な素材だとは思いますが、そういった煩わしいところをうまく処理して一大エンタメに仕上げたスタッフに脱帽です。アナザーストーリーはいくらでも作れそうですが、ほどほどにお願いします>フジの人。