おとなの夏休み 第三回まで

 刺激のない日常を『リセット』したい主婦とがむしゃらに働いてきて『老い』におびえるキャリアウーマンと30間近でふらふらしているダメ娘のひと夏を海の家を舞台に描くお話。

 結構期待してたんですが、いまいち乗りきれません。私なりにぼんやりと理由を考えてみました。

連続ドラマのフォーマットで書いてない
脚本の一色さんは映画の経験が多いので、連続ドラマというフォーマットに慣れてないんじゃないでしょうか?私の考える連続ドラマのリスクの少ないフォーマットとは『全体を通して大きなテーマがあるものの、飽きさせない&途中参加のハードルをさげるために1、2話ごとに明確な区切りが用意されている』というものです。区切り間の強さはそれぞれですが、おおむね連ドラというものはこのフォーマットに収まっていて、区切り感が強く、なおかつ全体的なテーマも明確なものがこちらへの印象を強くする傾向にあるといえます。(代表としては『TRICK』あたりでしょうか)一色さんの前作『彼女が死んじゃった』は地獄巡り的に毎回区切り感を持たせられたので気になりませんでした。しかし、今回は毎回の区切り感が希薄でだらだらした印象を持ちました。これはおそらく、繰り返されるセリフ(単語)の多さ(『リセット』とか『プチタミ』とか『二人のお金』とか)にも起因しているかもしれません。かなり高いハードルにチャレンジしているのはわからないでもないんですが、実に惜しい感じもします。『プチタミ』でのエピソードを毎回際立たせるといいのではないかと思いますが、第四回の予告を見る限りはそういう気はないようですね。
主要キャストに共感できるか?
たとえば寺島しのぶ演じるみゆきと同じ思いをしていてもおそらくみゆきに共感できる人は少ないのではないでしょうか?それは壽美子も優も同じだと思います。なぜか?。はっきり云えば、三人とも何か『薄汚れた』感じが漂うからです。(言い切っちゃっていいのか)ドラマを見て視聴者が共感する場合、それはおおむね自分より見た目がいい人でしょう。そうでない場合は同情だったり、見てみない振りに変化すると思います。かなり慣れましたが、特に寺島しのぶに共感しろというのは、天真爛漫というだけでは納得しがたいキャラクタ設定も含め、困難ではないでしょうか。20年前なら大竹しのぶ(奇しくも名前は同じ)が演じたであろうこの役柄は寺島しのぶ向きではなかったと思います。
匂いのする画作り
主要キャストの汚れ具合も関係していると思いますが、なんだかむんむんした匂いを感じる画です。暑苦しい夏を表現することを狙っているなら合格です。あまり好きではないですが。
キーワードがわかりづらい
三回目にしてようやく『リセット』の本心(新婚当時のわくわくした気分に戻りたい(言葉は不正確))が明かされました。しかし、そういうのって『リセット』というのでしょうか?私の感覚ではリセットは何かに戻るのではなく、新たにゼロから始めることです。この場合は『リスタート』じゃないでしょうか。リセットというと、行き詰まって仕方なくボタンをポチッと押しちゃう、半ば無責任なイメージがあって、どうにも馴染めないんですよね。わざとそういわせているのなら納得がいきますが、そうでもなさそうだし・・・。
エンディングは楽しい
そういった中、週代わりのエンディングはなかなかツボをついてきます。特に第三回は『モンローウォーク』。しかも南佳孝ヴァージョンですよ。独特のテンポの揺らがせ方がたまりませんね。エンディングで何がかかるかは非常に楽しみです。

 と、勝手なことを書いてきましたが、他のドラマにはない味わいや刺激があることも確か。何とか見通して見たいと思います。