不機嫌なジーン 第十一回(最終回)

 諫早湾調査資料についての発言が元で大学を辞め、仁子は南原の妻としての人生を選択するかに見えたが、人生において、研究の優先度を下げることは将来的に後悔してしまうと判断し、南原と別れ研究者としての道を歩むという回。

 『えぇー、これで終わりぃ』(by妻)という感じも相当にある最終回。

 音楽に例えれば、テンポは非常に軽快で、弾んでるんだけど、メロディ(中身)がそれについていけなくて、空疎な響きしか聞こえてこなかったというのが、このドラマの総合的な感想です。仁子が研究の道を選択し、南原との別れを決断するシーンで『南原が好きという気持ちだけでいられたあのころに戻りたい』的なセリフを発します。このシーンを解釈すると主旋律(主人公)がさまざまな変奏を経て、最後に華麗なコーダで締めくくられるといったようないわゆるビルドゥングスロマンとしてこのドラマを捉えて欲しいのかもしれませんが、それも中途半端。このドラマは仁子をヒロイン(独奏者)として周りが伴奏するといったコンチェルトだとすると、周りの楽器の音が途切れ途切れにしか聴こえず、独奏者が一人飛ばして弾いているという印象です。曲の最後になっていろんな音が聴こえてきたと思ったら、なんだか関係のない旋律を弾いてたりという感じ。挿入曲が『ラヴァーズ・コンチェルト』なのが皮肉ですね。

 クロニクルとしての性格付けは最終回の冒頭の日付入り振り返りで鮮明になったと思うのですが、見事に一貫性がありません。第七回以降が本当にやりたかった内容で第六回までは四苦八苦して組み立てたのではないでしょうか。おそらくはオダジョが予定通りのスケジュールで出演できなかったため、このようなことになったのでしょうが、実に悔やまれます。これらは推測なので、当初からやりたいことやった姿がこれだとしたらちょっと問題だと思います。

 締めくくりのところだけ見ると結婚より研究(仕事)を選んだ仁子の姿はキャリア志向の女性に対するエールのようにも見えますが、共感できるのかなぁ・・・。とにもかくにも、私にとっては最後まで中途半端で主題のよくわからないドラマだったことは確かです。

 おさらいでテントウムシに『しばらくお別れだけど』というセリフが気になりました。スペシャルでもやってリベンジを狙ってるんでしょうか>山口P。