Mの悲劇 第十一回(最終回)

 明は復讐をあきらめず、自分の父を死なせたのが明の父だと知った美沙を利用し、衛を誘い出し、復讐を果たそうとするが・・・という回。

 逮捕された後、衛のお母さんが明に面会し、詫びて、明がどういう気持ちで涙を流したのか?『うれしいけど遅すぎました』でしょうか。お互い生きることに必死だったんでしょうけど、息子を大学にやれるくらいなら少しずつでも返済した方が良かったんじゃないかと・・・。

 人物相関は先週のレビューで書いたとおりでしたが、借金取りが美沙と同じ施設出身というところまでは読めませんでした。ここまでくると全然悔しくないけど。

 ラストシーンで、新しい人生観(避けるのではなく起こったことにどう対処するかが重要)を持って生きようと決心し、大事な商談の席に向かう衛に、『助けてください』と一年前の衛のような状況の人が呼びかけて戸惑いの表情で終わります。きっと、ラストが先にできてたと思いますが間抜けな音楽(第一回冒頭の反復)も相俟って狙いは成功していたのではないでしょうか。
 現代パートの復讐で死人が出なかったことはこのドラマの良心と見るべきでしょう。

 前にも書いたように4、5回でコンパクトにまとめればぐっと見ごたえのある佳作に仕上がったはずなのにワンクールドラマのフォーマットに合わせたせいで失敗した惜しいドラマだと思います。