優しい時間 第九回

 助けられた梓の心身回復の様子、拓郎と梓の和解と拓郎の刺青告白、勇吉の気持ちを知った拓郎の涙という回。

 病室に来た勇吉の奇妙な笑顔ととってつけたようなぶらぶらするペンダントがすごく気持ち悪かったです。してるということをアピールするということを超えた、何か間違ったものを見た気持ちがします。(これは私の思い違いかもしれませんが、男性の場合ペンダントって内側にするもんじゃないんでしょうか?) それを見た梓が『イカしてる』、そしてマスターが『イカしてますか』。死語合戦ですか。狙って書いてるのかなぁ。これ以外にも、倉本先生じゃない脚本の割には倉本節が忠実に再現された脚本だったと思います。

 小泉今日子がいい味出してましたね。一体誰が、あのキョンキョンがこうなると予想できたでしょうか?薬師丸ひろ子が可愛いオバさんとして違う輝きを手に入れたのと似て、小泉今日子は内面が輝いていることを表面の汚れで表現できる見事なキャラクターを作り出していると思います。

 本気で死のうとした人の言葉は重く、梓の再生を促してくれました。ちょっと安易な再生のような気もしますが、拓郎が梓を嫌いになっているわけじゃないというところまでカバーしてくれての再生だと思います。

 呼応するように、梓の事故を知らされ、表面では動揺しないようにしてきた拓郎も、師匠に休息を勧められ、梓と再会。このシーンの梓の輝かしい表情は実に素晴らしかったと思います。第四回の感想でも書きましたが、長澤まさみはこの役に真剣に向き合い、没入してますね。

 今週後半から来週にかけては刺青が主役のようですね。あれだけ立派な刺青を入れるにはそれなりの費用がかかると思うんですが、男気に感じてただで入れてもらったんでしょうか?。
 めぐみとの会話は『生まれたときの拓郎の肌のきれいさ』が話題でしたが、それは暗に(というかみえみえですが)そのきれいだった肌に入れてしまった刺青への憎悪を強調するための会話ですよね。倉本先生は昨今のタトゥーを安易に入れる風潮に我慢がならなくて、自分なりの決着をつけたいと思っているんでしょうね。

 来週は一旦心理的波乱を巻き起こした上で、最終回の雪融けに持ち込む様子。今週からでいいから、見てくれる人が増えるといいなと思いました。