白い巨塔 第二十一回(最終回)

 東が見たものは、CTによる事前の予測とはかけ離れた、播種によって手のつけられないほど病巣の広がった肺の姿だった。体力温存のため、直ちに手術は中断。又一らは、さまざまな思いの中、財前に告知をしないことを申し合わせる。手術がうまくいったと聞かされたものの、抗がん剤の投与や自らの手の痺れから、病状に疑いを持った財前は柳原にカルテを出させるが、それは改ざんされたものだった。財前は里見の下にタクシーで乗りつけ、診断を仰ぐ。結果は財前自身も予想していたとおり、肺でのステージ4にまで悪化した癌と脳に移転した癌があり、余命3ヶ月というものだった。里見は財前に自分の病院で見させてほしいというが、大学病院の人間は大学病院でしか死ねないと財前は断る。なおも、不安を取り除きたいという里見に、不安はなく、ただ無念なだけだと振り絞るように告げ、財前は浪速大病院へ戻る。真実を隠されていた杏子も財前の死期が迫っていることをうすうす感じ始める。ケイ子を呼ぶ杏子。ケイ子と屋上に上り、自分の生き方について、常に最高を目指してきたと語る財前。そんな財前を一生忘れないとケイ子。不意に財前が倒れる。自発呼吸の限界が来ていると告げる東に、杏子はしゃべれなくなるような状態で生き永らえるのは財前の本望ではないと、人工呼吸を拒否する。鵜飼もやってきて東に病状を尋ねる。理由はがんセンター長人事についての文科省との打ち合わせが明朝あるという、ここに至っても大学病院の論理だけのものだった。里見が駆けつける。杏子が里見がきたことを告げると、財前の意識が戻る。しかし、うわごとを繰り返すばかりだ。手術の夢を見ているのか、しきりと道具を要求する財前。その財前の手を見かねたように握り返す里見。里見を残し、病室を出る皆。財前は薄れる意識の中、「がんセンター内科部長を受けてくれるんだな、センター長におめでとうの一言くらい言ってくれよ」と里見に話す。そして、財前は逝った。里見に残された手紙には、自分の遺体を今後のために役立てて欲しいということ、今後のがん治療には手術以外の方法の発展が重要であること、才能がある人間は研究を行う義務があるということがしたためられていた。という回。

 いやー、よかった。特に私が泣いちゃったのは財前が里見の診察を受けた中で「無念だ」とこらえながらいうところ。すばらしかったです。

 鵜飼学長の描き方などコントチックな部分も若干ありましたが、全体的に締まった感じで安心しました。財前が亡くなった後が少し駆け足気味(お母さんが来るシーンや里見への手紙をバックに遺体が運ばれるシーン)だったのがちょっと物足りない気がしました。砂の器ほど引き伸ばせとはいいませんが。

 佐枝子の「きれいな朝ですね」にはギャフン。要らないシーンじゃないでしょうか。要らないシーンといえば関口弁護士が佐枝子を解雇するシーンも要らない。先週の勘違い告白で佐枝子の出番は終わりにしてもよかったのでは?

 来週は特別編という名の総集編+α。コトーで味をしめたんだろうなぁ、この構成。