野ブタ。をプロデュース 第一回

 いろんなめんどくさいことを逃れるため、すべてはゲームだと割り切る桐谷と裕福な家庭に生まれ、父親からは『青春を謳歌しろ』といわれても何をやったらいいのかいまいちわからない草野が、幼児期の辛い記憶からこの世界で生きる場所がないと絶望の中生きている転校生小谷信子を学園一の人気者に育て上げようとするお話。初回は三人がその気になるまでを描く。

 脚本が『すいか』の木皿泉でなければ、最近は絶対見ない系統のドラマです。逆に木皿さん脚本というだけで今期一番の期待作。結果からいうと脚本100点・演出90点・役者60点といった感じで微妙です。

 脚本の根っこには『すいか』の際に感じて、ここでも何度も書いたように(こことか)「人の成長とは他人との関係によってしか成しえない」という忘れてしまいそうな真実が流れています。そして、それを上手に押し付けがましくなく伝えてくれるのも期待通り。『すいか』のときに『若い人に見てもらいたい』と感じていたんですが、今回はジャニーズを起用したこともあり、若い人に見てもらえそうなのがうれしいです。ちょっとした名言とか、短いシーンにも遊びが盛り込まれていたりとかする点は前作同様。テーマ的にこの先かなり重くなりそうな予感もありますが、期待してみて行きたいと思います。

 今回、個人的によかったのは、桐谷家のお母さんがナイジェリアで飛行機事故で亡くなったと思ったら生きていて、生きていることの素晴らしさや、なくなった方の家族に思いをはせることができて、翌日、信子へのいじめで席に花を飾ろうとしているのを軽口で止めるところ。実にさりげなく、生きていることの大切さを伝えてくれていると思いました。

 一方役者陣の評価は微妙。足を引っ張っているのは山下君であることは明白。あのろれつの回らなさぶりはちょっとやりすぎではないでしょうか?最初マジでシンナーでもやってラリっている役なのかと思いました。修正を希望します。亀梨君は割と好演。仮面のつけはずしの心理がうまく出せているんじゃないでしょうか。堀北真希ちゃんは結構ハードな演技を要求以上にこなせている感じです。走ったり転んだりけんかしたり、結構大変そうです。あれ、これだと80点くらいあげてもよい感じになってきたなぁ。

 脇も意外性と納得感の微妙なバランスを保った配役。担任の岡田義徳は先日の『ハルとナツ』のままの髭だったので、ブラジルから来た教師かと。

 演出は色温度を利用して場面のトーンを表現する凝った画面作りがどう受け取られるかが微妙です。非常にうまくいっているところとあざとさを感じるところが混じっています。(ビデオ撮らなかったので検証ができないのが残念)カメラワークのよさは日テレで定着してきた感があります。

 ということで、これからも楽しみに見られそうです。ぜひ、若い人に見てもらいたい。