ハルとナツ 届かなかった手紙 第五回(最終回)

  • 拓也と再会したハル。拓也はこの土地で自分の夢にチャレンジしてみたいという。そして、ハルと一緒になりたいと。ハルの父は歓喜し、快諾する。ハルもまた、拓也とともに生きる決心をするのだった。
  • ナツは相変わらず菓子を作り、順調だったが、大手の参入でまたしても翳りが見え始めていた。そんな中、仲買の山辺がハルに接近。ハルは周りの心配をよそに、野心あふれる山辺と結婚し、事業を拡大していく。
  • ハルの結婚を聞いた中山妻が自分の花嫁衣裳をぜひ着て欲しいと訪ねてくる。ぶっきらぼうに受諾するハルの父。披露宴は入植地の多くの人が参加した盛大なものに。山下夫婦も訪れ、再会に涙する。中山との『勝ち組』問題でのわだかまりも解け、ハルは幸せな日々を獲得する。そんな中、父は長年の深酒がたたったのか、63歳で息を引き取る。拓也は菊作りを成功させ、出荷などのためにも土地を移って菊作りを本格的にやりたいと申し出る。ハルは母を思い、留まろうとするが、母は一緒に行こうといい、家族はまた新天地を目指す。
  • ナツは菓子業界の集会で金太と勉に再会する。二人はナツの元を離れた後、白樺乳業に入社し、ともに立派に出世していた。
  • 時は流れ、息子二人も手伝い、ハルの農場は順調。長男が結婚相手を連れてくるが、ブラジル人マリアだった。許さないハル。結婚するなら出て行けという。長男は別居して暮らすことに。菊の値が暴落した年、菊を捨てなければならない中、泣きながら菊を抜くマリアの姿を見て、ハルは二人を受け入れ、また、ともに暮らすようになる。
  • 現代。お互いの話を終え、感慨深い二人。ハルはブラジルへ戻る。その飛行機の中、ナツの会社の事実上の倒産(白樺乳業に吸収)を知る。バブル期のナツの息子たちによる業務拡大がたたり、負債を抱えての結末だった。救ったのはかつての仲間で今は白樺乳業の役員になっていた金太と勉だった。これからどうするのかと問う金太と勉に『また一人に帰るだけ』と気丈に答えるナツだった。ナツが豪邸を処分し、引越しを終えたところにハルの孫大和がハルの手紙を持って訪ねてくる。ハルからの手紙には『ブラジルで、今度こそ一緒に暮らそう』と書かれていた。ナツは故郷の北海道を訪ね、そしてブラジルへと向かう。

 とうとう最後まで見てしまいました。しかし、印象に残りづらい。あまりにもお話が長年にわたる上に、ドラマチックなことも起こっているんですが、それを詳しく語っているとこのサイズでは収めきれないので、どうしてもスナップショット的な描写になる。見ているこちらは、なんだかあらすじを読んでいるような気になって、『筋』はすっと頭に入ってきてわかりやすいし、見入ってしまうけど、『情』の部分が少し薄いのかな?と思いました。『情』が無いわけではなくて、瞬間的にぐっと来るところもあるんですが、『ハイッ次』的な展開の中に埋没していってしまうんでしょうか。

 戦後のナツの話はほとんど無くてもいいぐらいに薄かったです。それは、『大体わかっているわよね』という橋田先生一流の省略法なんでしょうね。

 とはいえ、ブラジル移民の歴史に正面から向かい合った力作で、毎日付き合って悔いは無かったです。