ハルとナツ 届かなかった手紙 第三回

 いやー、久しぶりに真剣にドラマ見てるなぁとおもいます。今回は次のような感じ。

  • ハル一家は山下一家とともに農園からの逃亡を実行するが、叔父夫婦は叔母の足の負傷から囮になって農園に残る。ハルの兄、実は日本に帰る希望を持ってサントスの港で働くことに。山下一家とも途中で別れ、ハルは両親と三人でアメリカ人の持つ農園へ。そこで一家は借りた土地を開墾し、綿花栽培を成功させる。実も偶然日本海軍の軍人と知り合い、帰国し軍人となる。
  • 徳治と暮らすナツは牛の世話やチーズ作りも覚え、チーズのお得意さんとも懇意になる。そんな中、徳治が悪性の風邪で肺炎を起こし亡くなる。周りの人間は牛を処分した金でブラジルに行くことを勧めるが、ナツは徳治の牛を守ることを選ぶ。ナツはもう、自分が捨てられたということを信じ込み、受け入れてしまっていた。
  • 日米が開戦した日、ハル一家は農場主のアメリカ人から出て行くよう告げられる。ブラジルに来る船で一緒だった中山を頼っていった先は奥地の日本人入植地だった。そこではアメリカと友好関係にあるブラジルを刺激しないよう、外ではポルトガル語を話し、日本語放送も聴くことも慎むよう諭されたが、ハルの父は愛国心の強さから反発し、従おうとしなかった。また、商売のためなら敵国アメリカにも物を売るという思想も気にいらなかった。ハルは、ポルトガル語を覚え、少しでもとけこもうと思っていたが父の反対でそれもままならなかった。そんなある日、日本語放送を聴いた疑いで連行される日本人を見たハルの父は激昂し、ブラジル警察にたてついたため留置場に入れられることになる。
  • 現代。ハルは手紙を読み終え、戦中戦後のナツの様子も知りたい、語り合いたいと思うが、ブラジルに帰る決心をする。一方ナツは手紙を読み終え、自分が捨てられたと思い込んできたことが間違いだったと悟る。息子たちの甘い考えへの反発も手伝って、ナツはホテルにハルを訪ね謝罪し、二人は抱擁する。

 ブラジルで流転の生活を送るハルの描写に比べ、ナツ側には徳治の死以外ほとんど動きがないのでちょっとバランスが崩れた感じもします。しかし、ブラジル移民の叙事詩的要素が強いドラマですから、当然のことでしょうね。ナツの物語は戦後の成り上がるところに力点が置かれるのでしょう。懸念の米倉涼子は頑張っていると思います。声の悪さはどうにもならないのであきらめるしかないですが、体を張った感じは伝わってきます。11月には杉村春子の一代記をやるようですね。そんな骨の太い杉村春子はいないよとは思いますが、こちらも見てみたいと思います。

 ブラジル移民という、あまり理解のなかった事実をもとにしていることもありますが、実に飽かせず見せてくれるドラマです。