タイガー&ドラゴン 第八回

 組長の倅として生まれながら、今ひとつぱっとしない銀次郎が、偶然再会した今は警官の友人と一旗?揚げようとする顛末を『出来心』の噺とリンクさせて描く回。

 バイオレンスとコメディ(緊張と緩和ですか)がいい感じで調和していたと思います。軸足はVシネマ的バイオレンスに置きつつコメディをやる(リサのギンギンをお仕置きするシーンや日向さんのディスプレイ真っ二つなど)あたりが楽しかったです。

 「ほんの出来心で」を超現代語に訳すと「アリかナシかってーとアリかなと」になる(どっちつかずの思いが揺らいで悪い方に転ぶという意味で)という言語センスはお見事としか言いようがありません。普通古典のまくらって当時のことがわからない今の人の理解を深める役目があるものですが、今回の小虎のまくらは鍵となる今の若者が使う超現代語の解説になっていて、この点でもうならされました。うますぎ。

 不勉強で『花色木綿』というのが裏地という以上にどういうものか知らなかったんですが、『露草の一種で染めた薄い藍色の非常に丈夫な木綿で裏地に重宝されたもの』のことなんですね。花色というから緋色なのかと勝手に思ってました。で、これを知って、ああ、DVD±Rの裏もそうだ(よく裏青なんて隠語を使いますな)とひざを打ちました。果たしてここまで小虎(というかクドカン)は意識してたんでしょうか?。

 周りのみんなが小虎としての成長に理解を示し、応援するようになればなるほど、別の力が虎児を負の方向に引っ張っていく予感もつのります。それは竜二(小竜)との交代なのか、虎児の静かな退場なのかはわかりませんが、こういった雰囲気を漂わせるのもクドカンはうまいですよね。

 次回は『粗忽長屋』。ヤスオ(北村一輝はまり役)再登場でバイオレンス路線継続といったところでしょうか。『死んでるのに気づかない』テーマは小虎と虎児のことかしら。だったらさげが怖いなぁ。

 (追記)

 師匠がしつこく『フランシーヌの場合』を歌うシーンは『見ごろ食べごろ笑いごろ』の中で木の実ナナとやってたコーナー(ミュージカル仕立てで寸劇をやる)をおもいだしました(って若い人はわからないよなぁ)。