Mの悲劇 第八回

 衛を襲わせたのも中傷のFAXを送ったのもすべては明の仕業で、調子に乗って強請りをエスカレートしてきたチンピラを逆に暴行監禁しちゃって、真犯人は明に決定なんだけどまだ島谷専務と美沙の関係ははっきりしないなという回。

 いやー、蔵之介怖かったなぁ。キレる演技はなかなか見ごたえありました。

 しかし、明が犯人というのは普通に考えて思い当たる展開。次回以降、実は相当昔(20年前?)から明は衛に恨みを抱いていたという種明かしがされていくようですが、ちょっとずるい展開ですよね。何より明と衛の過去に対する伏線がほとんど張られていない。この展開が許されるならどんな理由付けだって可能なわけですよ。せめて、何か明が昔話をしたりしていれば、そこに線がつながるんですが、それも無し。かろうじて今週の瞳が出てきたシーンで、『昔から邪魔する目障りなやつがいる』と明に語らせてはいますが、これって遅すぎませんかね。お話自体は面白いんですが、モラルというかマナーというかそういうものが欠如しているような気がします。

 この手の話(昔の恨みを忘れていたころに晴らそうとする)は基本的に大好きな話なんですが、どうにも構成が怪しいのが見ていて辛いところです。このところの日曜劇場のサスペンスものは回数を半分にしたほうがいいものばかりのような気がします。『砂の器』も『逃亡者』もこれも詰めるべきところをきちんと詰めれば緊迫感のある締まったお話になったと思うんですが、1クール持たせるためだけの展開が目立ってしまって見る側にとっては苦痛です。思い切って4〜5回のパッケージにして、DVD2枚組みで売れる番組作りにしてしまった方がいいんじゃないですかね。