優しい時間 第四回

 電気店を営む常連客の音成の倒産がかかった無心をめぐる出来事を軸に、梓に拓郎がついに勇吉が自分の親父だと告白したりする回。今週のテーマは正しい(と信じている)ことを伝えることの難しさでしょうかね。

 倉本聰の残酷さが良く出た回だと思います。いままでで一番出来が良かったんではないでしょうか。しかし、カメラワークというかカット割というか北の国からとダブるものが目についちゃいますね。音成の店から商品が運び出されるところに梓が通りかかり、音成の妻の後ろ姿が映し出されるシーンは特に既視感が強かったです。

 布施博は心の弱い人の役をやると天下一品ですね。奥さんとのいきさつを話し、なんて云えばいいのかと苦悩するところは、その後の悲劇の静かな前兆として心に染みるシーンでした。
 梓の未熟さから来る苛立ちはわからなくもないんですが、20歳くらいの設定ですよね。もう少し大人になっていてもいいのではないでしょうか?。しかし、長澤まさみはこの役を実に真剣に演じていると感心します。ラスト近く拓郎を訪ねてきたときの表情は(メークかもしれませんが)目のしたのクマもあいまって、焦燥感が見事に表現されていたと思います。

 めぐみは大体22:44分ごろに出てくるようですね。今週はめぐみのカップで勇吉が飲んでいたのでめぐみが怒るかと思いましたが、それは無し。静かに豆をひいてました。

 ラスト近くの拓郎と梓のやりとりにおける、おっさんの呼称としての『親父』と父親の呼称としての『親父』をかけた会話劇は倉本聰の名人芸。予測がつきながらも実にうまいと思いました。

 音成の話は当然来週も尾を引く様子。加えて小日向文世がゲスト?でまた楽しみです。