マル被警察24時 小田扉 著

 ビックコミックスピリッツで「団地ともお」を好評連載中の小田扉による作品。

 コミック雑誌は、今スピリッツしか購読していないのでまったくノーマークだったのだが、私の好みにジャストミート。作者は女性かと思っていたんだけど、どうやら男性のようだ。ともおの単行本が出たついでにこの「マル被警察24時」と「男ロワイヤル」をあわせて購入。

 この作品は一話たった4ページで描かれる警察漫画なのだが、一話読み終わってあらためてページ数を確認してしまうほど密度が濃い。あくまで抒情をベースに描かれるが人物設定や状況設定に工夫が凝らされており、単にほんわかしているという感じでもない。絵も上手く、思い切りのいい必要最小限の線できっちりと描写するあたり、感動すら覚える。基本的に一話完結で書き進められるが、後半、赤山刑事(初老の主人公?)が過去に当たった事件と女性刑事藤の追う犯人とが絶妙に重なり合い、緊迫感を醸し出しながら連続刑事ものの様相を呈してくるのがお見事。それだけでなく、以前に出てきた端役かと思わせる人物もきれいに生かしながら最終回に持ち込むところなど自分の創造したキャラクターへの愛情が感じられ実に幸福な気分にさせられます。

 久々にいい漫画を読んだという気分になりました。漫画好きの方はぜひご一読を。